入社して、半年。
はじめて仕事をいただいた時の、上司の言葉でした。
私は、小さい頃より、絵を描くことが大好きでした。
中学になってから、写生大会、統計グラフコンクールなどに出品し、
数々の小さな賞をいただいたこともありました。
そのころから、私の胸の奥には、
デザインへの道が少しずつ見えはじめていました。
短大で絵を学び、
そして、ようやく入社したのは富山県富山市にある広告代理店でした。
入社して、私はすぐに仕事ができるものだと思っていました。
ところが、入社した次の日から、
私は入社した広告代理店に出入りされている
デザインオフィスに1週間のうち、
3日間出向するように命じられました。
あの当時、まだ、デザインがソフトウェアで制作されていない、
手書きの時代でしたので、
会社で必要なデザイン用具を準備していただき、
週3回のお話で通い始めました。
残りの3日間、会社に戻ってきても
何もすることがなく、
毎日窓際で、そばにあった本を読むだけの日々でした。
ベテラン経理の方に、
「夜間のデザイン学校に行けば!」などと冷たく言われ、
だんだん、こんなことをしていてもよいものかどうか、いつも不安で、
しまいには、会社に対してなんだか、
大変ご迷惑をかけているようで、自己嫌悪の毎日でした。
周りの先輩方や上司が
皆大変いそがしそうにしているのに、
自分だけ、取り残されたような気がして
入社したての頃の
あの自信も夢もすでに薄らいでいました。
そんなある日の夕方。
いつものように1日が終わるころ・・・
入社して半年目のある日でした。
上司が急ぎ足で
あるデザイナーが作った新聞入稿用の版下をもってきて、
「日時だけ直せるか!」と話しかけてくれたのです。
いまでも、あの版下を覚えていますが
小さな手のひらサイズの
富山で行われる有名な落語家さんの二人会の版下でした。
「はい!できます!」
仕事だ!あの頃の私は今でも忘れることができないくらいの
喜びを感じていました。
日時を直すだけの
今思えばとても簡単なお仕事ではありましたが
この仕事こそが
私のデザインへの第一歩でした。
「京子さん、そろそろ始めるか!」
上司がその後、私の目をみて話かけてくれました。
仕事を終え、会社を出る頃、
外の街路樹はすでに赤や黄色に色付きはじめていました。
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投稿者 anjgmt888 : 23:54 | コメント (0) | トラックバック (0)


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